入院・手術のご案内

肩 腱板断裂

腱板断裂とは?

腱板とは、肩甲骨と腕の骨(上腕骨)を安定させている4つの筋肉が、上腕骨にくっつく場所の総称です。前に肩甲下筋、上に棘上筋、後ろに棘下筋、小円筋があります。通常の腱はひものような形状をしているのに対して、腱板は板のように平らな形状をしているため、腱板と呼ばれます。腱板がきれてしまった状態を肩腱板断裂とよびます。肩腱板断裂は非常に頻度の高い病気(怪我)です。一般の人を調査したところ、60歳代で4人に1人、70歳代で3人に1人、80歳代で2人に1人の割合で肩腱板断裂が見つかりました。(当院の研究)
腱板断裂の症状として肩の痛み、筋力低下などがあります。腱板断裂の患者さんは肩を動かさなくても痛みが出る場合があり、その場合には、飲み薬や関節注射などで痛みの軽減を図ります。動作時の痛みには薬は効きにくく、リハビリが必要となります。しかし投薬やリハビリなどの保存治療では症状改善が不十分である事も多く、手術が必要なケースもあります。手術では、切れた腱を縫って直す腱板修復術が一般的です。重症化してから手術を受ける場合では、筋膜を移植する方法や人工関節など、大きな手術が必要になってしまう場合もあります。

保存治療と手術治療を比べた場合、手術を受けた方が痛みや筋力が改善しやすいことが分かっています。

しかし手術を受けられない方もいるため、その場合には保存治療を選択します。

手術の目的は関節の動きを良くする事、筋力を改善させること、痛みを改善することです。
腱板修復術では、糸が付いているネジを腕の骨に打ち込み、糸を腱板に通して結ぶ方法が一般的です。
手術が終わった後はこのような装具を付けて腕を安定化させます。
着替えや入浴、リハビリの時以外は常に装着を行います。

入院から退院までのながれ

入院1か月前
血液検査・画像検査・麻酔科診察など
手術前日
入院、装具の大きさを合わせます。
手術当日
当日食事はできません。手術終了直後から肩装具を装着します。
手術翌日
リハビリを開始します。
手術1週目
検査で問題なければ退院の許可がでます。
自宅に退院して週に1回程度の通院リハビリを行う方法が主流ですが、お一人暮らしで生活やリハビリ通院が困難な方の場合には病院を移り、入院したままリハビリを続ける方法もあります。
手術4~6週目
装具が外れ、自分の力で腕を動かす練習が始まります。
手術3か月
日常生活の支障がなくなります。
手術3~6か月
軽い力仕事も可能になります。
手術1年
力の弱さや違和感も含めると、このころに完治といえます。

約75%の方がスポーツにも復帰しています。