入院・手術のご案内

関節リウマチ 足趾形成術

関節リウマチとは?

自分の体を外敵から守る働きを“免疫”と言います。この免疫に異常が起こり、自分の体を攻撃してしまう病気を自己免疫性疾患と呼びます。関節リウマチはこの自己免疫性疾患の一種と考えられており、全人口の0.5ー2%で女性に多いと言われています。最近では高齢での発症が増加しています。

関節リウマチでは、その名の通り体のほとんどの関節に症状が出る可能性がありますが、中でも一番多いのは手の指です。関節の破壊が進むと、指が曲がり、生活するのに大変な手になってしまいます。

関節リウマチの原因は実ははっきりとわかっていないのが現状です。関連があるとされるのが、ウイルスや細菌の感染、妊娠、タバコ、歯周病などの、いわゆる環境因子です。また、遺伝の関与も指摘されていますが、同じDNAを持つ双子での発症は15−34%と言われ、そこまで高くはないことから、いろいろな要素が混じり合って発症に至ると考えられています。

関節リウマチの治療としてはまず薬物による治療が行われます。一番基本となる薬は、メトトレキサートと呼ばれるものです。このメトトレキサート であまり効果がない患者さんには、注射の生物学的製剤や飲み薬のJAK阻害剤など、比較的新しく開発されたお薬を使うことになります。

副作用の心配などでこれらの薬が使えない患者さんに対しては、効果が少し弱くても安全に使える薬を選択する事があります。
関節リウマチの患者さんでは、足の変形が進むと、足のゆびが重なり合ったり、いわゆる外反母趾の状態となります。

X線写真を撮ってみると、関節が壊れて脱臼しているのがわかります。このようになると、体重をかけた時や歩く時に痛みが出たり、ゆびが曲がっていて靴が履けなくなったり、足の裏にタコができたりして、日常生活に様々な制限が出てきます。足の変形がある患者さんに対する治療は、大きく保存治療と手術治療に分かれます。まずは保存治療です。これ以上足の変形が進まないように、まずは薬を中心としたリウマチのコントロールをしっかりと行います。また、足のタコを削るフットケアや、足にかかる体重のバランスを改善するための装具を作ったりすることも有効です。

このような保存治療を行っても効果に乏しい時には、手術をすることになります。歩くときの痛みが強く生活に制限が出てしまう時や、足の裏にタコができて滲み出しがあるような時には手術を考えた方が良いでしょう。特に足のタコの滲み出しをそのままにすると、そこからばい菌が入り感染につながる事があるため注意が必要です。
上の図は右のおやゆびを正面からみたものです。基本的に手術を受ける患者さんは外反母趾となっています。この外反母趾を矯正するための方法はたくさんありますが、当院ではこのように骨を切って、角度や長さを矯正する事が多いです。矯正ができれば、あとは金属ワイヤーを使って骨を固定します。また、変形によっては人工関節を選ぶこともあります。

変形したゆびの骨を横から見てみましょう。中足骨という骨が足の裏に潜り込んで、その先の骨が跳ね上がってしまっています。この変形を矯正するために、中足骨をだるま落としのように切って長さを短くします。これでゆび全体を真っ直ぐにする事ができるようになります。

しかし長年曲がっていたゆびは、曲がろうとする力が働いてクセがついています。このクセのついたゆびを矯正するために、ゆび先から金属ワイヤーを入れて、3週間程度固定します。この手術では、中足骨を切りますが関節部分はそのまま残るため、関節を温存できるというメリットがあります。

変形を手術で治す事で、痛みの改善や感染を予防する事ができます。また、靴が履けるようになる、見た目がよくなるといった事も期待できます。

入院から退院までのながれ

入院1か月前
血液検査・画像検査・麻酔科診察など
手術前日
入院
手術当日
手術室入室~退室までおよそ4~5時間程度かかります。当日食事はできません。
手術翌日
かかとをついての歩行許可
手術後2週間
抜糸、装具を作成
リハビリをゆっくりご希望の方は転院の手配をし、自宅近くに転院します。
手術後3週間
金属ワイヤー抜去
手術後4週間
リハビリ病院を退院
手術後2か月まで
装具をつけてかかと歩行を続けます。
手術後2~3ヶ月
骨が癒合すれば、装具を外して通常に近い歩行ができるようになります。